水泳と寿命延長
作成日: 2025年1月3日
作成日: 2025年1月3日
1週間に4日ほど、30分水泳をするとどれくらい寿命伸びますか?
運動習慣と寿命の関係については、多くの研究が「適度な運動を継続するほど健康維持や余命の延長に寄与し得る」という傾向を示しています。しかし、「週に4日、30分の水泳を続けたら具体的に何年寿命が延びる」といったように、はっきりとした数字を断定できるわけではありません。なぜなら、寿命は運動以外にも遺伝、食習慣、睡眠、ストレス、既往症の有無など多くの要素が組み合わさって決まるためです。
以下、参考となる情報や考え方をまとめます。
アメリカ国立衛生研究所(NIH)などの研究
・週に合計150分程度の中強度の運動(ウォーキングや軽いジョギング、水泳など)を行う人は、運動をほとんどしない人に比べて総死亡リスク(あらゆる原因で死亡するリスク)が10~30%ほど低下する、という報告があります。
・さらに、運動時間を週に300分(1日あたり約40〜45分)程度まで増やすと、総死亡リスクはもう少し下がる傾向があると示唆されています。
水泳特有の効果
・水泳は、ジョギングなどと比べて関節への負荷が少なく、全身運動のため心肺機能や筋力向上にも役立ちます。
・一部の研究では、定期的に水泳を行う人は心疾患などによる死亡リスクが低いとの結果も報告されています。
運動を全くしない人と比較した場合
ある大規模調査からは、「WHOの推奨する週150分以上の中強度の運動を行う人」はそうでない人に比べ、平均して1〜3年ほど長く生きる傾向があった、という報告があります。
※ これはあくまで平均値の話であり、個人ごとの差は非常に大きい点に注意が必要です。
運動だけですべてが決まるわけではない
寿命は、食事、睡眠、ストレス管理、遺伝的要因やその他の生活習慣とも密接に関わります。
週4日・1回30分の水泳は、運動習慣としては理想的な部類に入りますが、もし飲酒や喫煙、不規則な生活習慣や病気の有無などがあれば、寿命への影響は一概には言えません。
「延びた年数」よりも「健康寿命」を意識する
近年は、ただ長生きするだけでなく「健康で自立して生活できる期間」を伸ばすことが大切だとされています。適度な有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせることで、ロコモティブシンドローム(運動器の障害)やサルコペニア(加齢による筋量低下)の予防にも繋がり、日常生活を長く自立して送る助けとなります。
週に4日、30分程度の水泳を行うことは、心肺機能の向上、筋力維持、ストレス解消など多くの健康上のメリットが期待できます。
ただし、「具体的に何年寿命が延びる」といった厳密な数値を示すことは難しく、あくまでも他の生活習慣や先天的な要因等と合わせた総合的な結果として寿命が左右されます。
健康増進という観点で考えれば、週に合計で150分以上の適度な運動を継続することは確実にプラスに働くと考えられます。長期的に無理なく水泳を継続していくことで、“健康寿命”の延長や生活の質(QOL)の向上が期待できるでしょう。
※ご自身の具体的な健康状態や運動の始め方などに関しては、医師や専門家にご相談されるとより安心です。