サイクリック宇宙論概説

サイクリック宇宙論を解説している。

7 秒の間、思考

サイクリック宇宙論（循環宇宙論）は、宇宙が無限のサイクル、つまり「ビッグバン」と「ビッグクランチ」のような拡大と収縮を繰り返すという仮説です。この理論では、現在の宇宙の膨張は過去の宇宙の収縮に続くものであり、宇宙は始まりも終わりもない永遠の循環を続けると考えられます。

歴史的背景

この考え方は古代から存在し、ヒンドゥー教や仏教などの東洋の哲学でも見られます。近代科学においては、アルバート・アインシュタインが一般相対性理論の初期の解として静的な宇宙モデルを提案しましたが、その後の観測で宇宙が膨張していることが明らかになりました。

現代のサイクリックモデル

現代の宇宙論では、以下のようなサイクリックモデルが提案されています：

• エキピロティック宇宙論：このモデルでは、我々の宇宙は高次元空間に存在する膜（ブレーン）が衝突することで生まれ、その過程が無限に繰り返されるとされます。

• コンフォーマルサイクリック宇宙論（CCC）：ロジャー・ペンローズが提唱した理論で、宇宙の遠い未来とビッグバンの間に共形対称性があると仮定し、宇宙は無限のサイクルを経るとします。

課題と批判

サイクリック宇宙論にはいくつかの課題があります：

• エントロピーの問題：熱力学第二法則によれば、閉じた系のエントロピーは増大し続けます。これが無限のサイクルで可能かどうかが疑問視されています。

• 観測的証拠の不足：現在のところ、サイクリック宇宙論を支持する明確な観測的証拠は見つかっていません。

まとめ

サイクリック宇宙論は、宇宙の起源や終焉に関する深遠な問いに答えようとする試みであり、宇宙論の一分野として研究が進められています。しかし、その妥当性を確立するためにはさらなる理論的研究と観測的証拠が必要です。